まずは、基本中の基本である太陽光発電の仕組みについて、分かりやすく解説していきます。
多くの方が、太陽光発電と聞いて何となくイメージしているかと思いますが、これから設備を導入するのであれば、発電の仕組みについては最低限知っておきましょう。
太陽光を電気に換える部品が太陽電池
太陽光発電の仕組みを知る上で、欠かすことの出来ないモノが太陽電池です。
太陽光発電は、光を電気に換えるのですが、太陽電池がその役割を担っています。
太陽電池は、太陽光発電の仕組みで最も中心的役割を担っており、太陽からの光を吸収すると電気に変換する素子です。
2018年時点で普及している素子は、シリコン半導体で構成されたシリコン系太陽電池です。
N型シリコンとp型シリコンを組み合わせて、光を電気に変換しており、正確には太陽光を吸収した際に正孔がp型シリコン、電子がn型シリコンへと動きます。
そして、太陽電池に、何かしら負荷となるものを電極と接続することによって、太陽電池内で変換したエネルギーを利用することができます。
これが、太陽電池及び太陽光発電の原理です。
ちなみに、太陽電池という名称が付いていることで、アルカリ電池などのように電気を溜めることもできるイメージがありますが、蓄電機能はありません。
そして、太陽電池を複数実装したパネルを、太陽光パネルなどと呼びます。
太陽光発電システムと太陽光発電は違う
例えば住宅用太陽光発電の設置を検討していて、設備についてイメージする時多くの方は、前述の太陽光パネルのみをイメージするでしょう。
確かに、太陽光発電という意味では、太陽子パネルもしくは太陽電池があれば発電できます。
しかし、住宅用太陽光発電や産業用太陽光発電といった、実用性のあるシステムを構築する為には、様々な部品や設備が必要となります。
例えば、直流電力の問題が代表的です。太陽電池・太陽光パネルで発電した電気は、直流電力で構成されています。
しかし、あらゆる家電・デジタル機器は交流電力で動作するよう製造されていますし、電力網は全て交流電力で構成されています。
従って、発電した電気をそのまま住宅用や産業用の設備機器に用いる事はできず、電力会社へ電気を売ることもできません。
そこで、各メーカーは太陽光発電システムに様々な機器を組み合わせて、様々な場万で実用できるようになりました。
太陽光発電システムは複数の機器で構成される
では、続いて太陽光発電システムを構成している機器と、発電の流れを説明していきます。
例えば、住宅用太陽光発電システムは、太陽光を受けた太陽光パネルが直流電力を作り、パワーコンディショナと呼ばれる機器へ送電します。
パワーコンディショナとは、直流電力を交流電力へ変換する機器のことで、ここで一般の機器へ利用することや電力会社へ売電できるようになります。
また、住宅用太陽光発電システムの場合は、系統連系システムと呼ばれる発電量が消費電力を上回る時に、自動で電力会社へと売電する仕組みとなっています。
さらに、太陽光発電の発電量が消費電力を下回ると、自動で電力会社から電気を買電し、賄うようになっています。
このように、太陽光発電システムは、自動で切り替えなども行うので、便利といえるでしょう。
太陽光発電を構成する主な機器は、
- 太陽光パネル
- パワーコンディショナ
- 接続箱
- 配線
- 分電盤
となっています。正確には、さらに様々な部品や機器で構成されていますが、まずは上記の機器や言葉を覚えておくといいでしょう。
太陽光発電の売電の仕組み
太陽光発電の基本的な仕組みについて理解できた所で、次は太陽光発電の売電の仕組みについて説明していきます。
最近では、太陽光発電で副収入を得ようなどのように、太陽光発電で収入を得ることが可能です。
太陽光発電で発電した電気は売ることができる
日本では、太陽光発電で発電した電気を電力会社へ売ることができるよう、環境が整備されています。
従って、太陽光発電で売電収入を得る事も可能となります。
そして、太陽光発電で発電した電気の売電価格について、電力会社が買い取る価格を固定化させる制度を国が定めました。それが、固定買取価格制度です。
正確には、太陽光発電に限らず再生可能エネルギー全般の、売電価格について固定価格となっています。
売電の仕組みは出力などによって変わる
売電の仕組みを整えた、固定買取価格制度を知る上で出力制御や10kw未満・以上の違いについて理解しておく必要があります。
固定買取価格制度では、太陽光発電システムの出力が10kw未満・以上によって、売電価格や売電の仕組みが変わります。
10kw未満とは、いわゆる住宅に備え付けられているタイプの太陽光発電で、出力量が10kw未満ということを表しています。
ただ、住宅用太陽光発電といっても、敷地面積が広く産業太陽光発電並みの設備を設置すれば、10kw以上に区分される場合もあります。
10kw未満の出力の仕組みは、固定買取期間が買取開始年から10年間となり、売電の仕組みが余剰電力と定められます。
固定買取期間とは、電力会社が買取価格のレートを調整できない、すなわち太陽光発電の売電価格が固定価格となる期間のことを指します。
売電価格は、1kwhで表すのですが、例えば30円/kwhで固定買取価格が開始されると、その年から10年間は30/kwhで売電できるようになります。
そして余剰電力の仕組みについてですが、これは余った電力を売電に回すことができることを指します。
つまり出力が10kw未満の太陽光発電設備の場合、太陽光で発電された電気は家庭内の消費に回されます。
そして、消費電力に対して発電量が余った場合のみ、電力会社へ売電できる仕組みです。
次に10kw以上、通称産業用太陽光発電の仕組みですが、固定買取期間が20年となり余剰電力もしくは全量買取制度が適用されます。
特徴は固定買取期間が10kw未満よりも10年伸びている点と、全量買取制度を選ぶことができる点です。
全量買取制度は、太陽光発電で発生した電気を全て電力会社へ売電できる仕組みのことです。
従って、事業として太陽光発電システムを設置する場合は、収益を得やすい仕組みになっています。
売電価格の固定価格は毎年違う
売電の仕組みで押さえておくポイントの1つが、売電価格が変わるという点です。
固定買取価格制度は、国が太陽光発電市場を見極めた上で、毎年売電価格を算定します。
従って、固定買取価格が適用された年によって、太陽光発電の売電収入の計画も変える必要があるのです。
そして、売電価格の仕組みで課題といえる部分が、年々固定買取価格が下がっていることです。
例えば10kw未満で出力制御対応機器設置義務なしが適用された場合、2014年度は37円/kwhだったのが2018年度には、26円/kwhまで固定買取価格が下がっています。
2014頃までは、太陽光発電の固定買取価格の相場が高かったので、住宅用・産業用共に設備を設置すれば、初期投資回収期間10年程度で黒字化が比較的容易ともいえました。
しかし、価格が下落している現在では、売電収入を増やすために工夫が求められるようになっています。
太陽光発電の売電収入を増やすには
太陽光発電の売電収入を支える仕組みといえる、固定買取価格制度ですが、太陽光発電設備の生産・導入コストの下落によって固定買取価格も同様の傾向にあります。
そこで、住宅兆太陽光発電で売電収入を増やす為に必要な、工夫や仕組みづくりについて紹介していきます。
売電収入を増やすには
住宅用太陽光発電の売電収入を増やす為には、発電量を増やす・余剰電力を増やす・固定買取価格を高い電力会社を選ぶ、といったポイントを押さえることが大切です。
1つ目の発電量を増やすというのは、文字通り太陽光発電システムの総発電量を増やす仕組みを作るか、発電効率を下げないということです。
例えば、新規で太陽光発電を設置する際に、見積もり業者や施工業者と話し合って
- 発電効率が良い太陽光パネルを設置する
- 太陽光パネルの設置枚数を増やす
- 発電効率が良いシステム
といった内容から、効率よく発電量を増やす仕組みづくりを進めます。
最近では、太陽光パネルの性能も上がっており、実発電量の高いCIS太陽電池を搭載した商品も販売され始めています。
従って、太陽光パネルの選び方も発電量・発電効率に大きく影響します。
次の太陽光パネルの設置枚数を増やすという方法ですが、こちらに関しては屋根をはみ出してしまうと、保証対象外となる事例がほとんどですので、可能な範囲で枚数を増やすのがいいでしょう。
また、太陽光パネルの枚数を増やしたとしても、影になる場所へ設置した場合は発電できませんので、枚数を意識すると共に自宅の屋根の形状や太陽との向き関係も考える事が大切です。
2つ目は、余剰電力を増やすという方法です。
住宅用太陽光発電の売電に関する仕組みは、余剰電力でのみ売電が可能となっています。
従って、自家消費分を節約することが、結果的に売電収入を増やす方法へと繋がります。
さらに、最近ではガス併用との利用も人気で、オール電化よりも電気代が安くなる事例もあります。
固定買取価格の変動に限らず余剰電力の確保は、太陽光発電システムの収支バランスを維持する為には必要な考え方でしょう。
3つ目の買取価格が高い電力会社についてですが、2018年時点で日本は電力自由化となっており、既存の電力会社以外の新規参入企業が様々なサービスを打ち立てています。
そして、中には固定買取価格よりも高い相場で、電力を買い取ってもらえる小売事業会社が存在します。
従って、太陽光発電や売電の仕組み以外にも、電力会社の選び方についてよく検討することが、売電収入を増やすポイントです。